戦隊ものの名乗りについて・2

スーパー戦隊シリーズ 獣拳戦隊ゲキレンジャー [DVD]
2007年「獣拳戦隊ゲキレンジャー」の時に、スーパー戦隊シリーズの名乗りについて書きました。
詳しくはこちら→http://d.hatena.ne.jp/euproject/20070325#p1
この時、「ゲキレンジャーは3人だから今のところ短いが、追加戦士があるから長くなるのかしら」と書いていました。
結論から言うと、なりました。

3人から5人になったので、全部書きだしてみます。

身体にみなぎる無限の力! アンブレイカブル・ボディ ― ゲキレッド!
日々是精進、心を磨く! オネスト・ハート ― ゲキイエロー!
技が彩る大輪の花! ファンタスティック・テクニック ― ゲキブルー!
紫激気(しげき)、俺流、我が意を尽くす! アイアン・ウィル ― ゲキバイオレット!
才を磨いて、己の道を切り開く! アメイジング・アビリティ ― ゲキチョッパー!
燃え立つ激気(げき)は正義の証! 獣拳戦隊 ゲキレンジャー

個人キャッチフレーズと、二つ名がマジレンジャーより長い!
翌年のゴーオンジャーはキャッチフレーズと戦士名に戻りましたが、こちらは7人いるんでやっぱり長い。
翌々年のシンケンジャーは…


侍戦隊シンケンジャー
侍戦隊シンケンジャー(2009)の名乗りを書きだしてみます。

シンケンレッド ― 志葉 丈瑠(薫)*1
同じくブルー ― 池波 流ノ介!
同じくピンク ― 白石 茉子!
同じくグリーン ― 谷 千明!
同じくイエロー ― 花織 ことは!
同じくゴールド ― 梅盛 源太!
天下御免の侍戦隊 ― シンケンジャー、参る!

あれ? 思ったより短い。
そう、セリフは短いんです。長いのは、名乗るまでの前準備

まず、怪人「外道衆」が戦闘員「ナナシ連中」を率いて暴れまわります。
そこに、「そこまでだ、外道衆!」とシンケンレッドの声。
その後、太鼓の音と共に黒子がわらわらと現れ、のぼりを立て、陣幕を張り、その中から白装束姿のシンケンジャーが登場。
変身携帯「ショドウフォン」を構え、筆モードに変形させ、「一筆奏上!」の変身コールと共に空中に文字を書き、変身。
その後に上記の名乗りです。

第一話で見た時、「スーパー戦隊もついに開き直った!」と思ったものです。
名乗ってる間にやられちゃったらどうするんだ、と散々突っ込まれる名乗り行為ですが、シンケンジャーは侍戦隊。
侍だったら勿体つけて名乗らなきゃ! 水戸黄門桃太郎侍みたいに!

忍風戦隊ハリケンジャー Vol.1 [DVD]
同じような開き直りを見せているのが、「忍風戦隊ハリケンジャー」(2002)です。
忍者なんだから忍べよ! というツッコミもなんのその。歌舞伎のように大見得を切って名乗ります。

風が哭き、空が怒る ― 空忍・ハリケンレッド!
水が舞い、波が踊る ― 水忍・ハリケンブルー!
大地が震え、花が歌う ― 陸忍・ハリケンイエロー!
人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ ― 忍風戦隊 ハリケンジャー、あ、参上!

真紅(しんこう)の稲妻 ― 角忍カブトライジャー
蒼天の霹靂 ― 牙忍・クワガライジャー
影に向かいて影を斬り、光に向かいて光を斬る ― 電光石火 ゴウライジャー、見参!

I am Ninja of Ninja ― 緑の光弾、天空忍者・シュリケンジャー、参上!

ハリケンジャーは上から3人のみで、後にゴウライジャー・シュリケンジャーという別勢力が共闘するというストーリーなので、このようになっています。
当時非常に長かったことで空想科学読本にまで突っ込まれた伝説の名乗り。しかも本編では「水が舞い、ぬぅあみぃがぁ踊る」などといちいち見栄を切った喋り方をするのでもっと長くなっていました。
でも、コレも時代劇風戦隊だから許されたことでしょう。

この2作は、「世界観さえ合っていれば開き直って長い名乗りをしても大丈夫」というお墨付きを与えたと言えます。

スーパー戦隊シリーズ 海賊戦隊ゴーカイジャー VOL.1【DVD】
では、今年の戦隊、「海賊戦隊ゴーカイジャー」(2011)は?

ゴーカイレッド!
ゴーカイブルー!
ゴーカイイエロー!
ゴーカイグリーン!
ゴーカイピンク!
ゴ〜〜〜〜〜〜〜カイ、シルバー!
海賊戦隊 ゴーカイジャー

超久々の短い名乗り。個人の二つ名も戦隊のキャッチフレーズも、なんもなし。
ゴーカイジャーは、過去のすべてのスーパー戦隊に変身できるという戦隊です。当初は、他の戦隊にゴーカイチェンジする際に、その戦隊の名乗りをする予定があったのでは…と推測されていますが、真相は不明です。
実際には、マジレンジャーゴーゴーファイブの時には名乗りましたが、全ての戦隊というわけではありませんでした。それも、「○○戦隊○○レンジャー!」の部分しか名乗っていません(ダイナマンは別。あれは名乗りの際の爆発で戦闘員を吹っ飛ばすというギャグのために名乗った)。

もしくは、元々の予定ではオリジナルのスーパー戦隊と共に名乗るはずだったのでは…と推測されるエピソードもあります。
ゴーカイジャー」は、過去のスーパー戦隊の「大いなる力」を手に入れていくストーリーなのですが、その「大いなる力」を渡すのは、オリジナルの役者が演じる元の戦士です。マジレンジャーなら、橋本淳が演じる小津魁/マジレッドがちゃんと出てきてくれます。
ところが、過去の戦隊(レジェンド戦隊)は、宇宙帝国ザンギャックとの戦いによって変身能力を失い、その能力は「レンジャーキー」となって宇宙に散らばってしまいました。ゴーカイジャーはそれを集めて回って所持しているわけですが、レンジャーキーを本人に返せば、彼らはまた変身できるようになります。

ハリケンジャー回の時は、ゴーカイジャーハリケンジャーにレンジャーキーを返却し、そのおかげでゴーカイジャーとオリジナルのハリケンジャーが同時に変身できるようになりました(これをやったのはゴセイジャーハリケンジャーのみ)。
名乗りの内容は、ゴーカイジャーのあとにハリケンジャーの3人(ゴウライジャー・シュリケンジャーは欠席)が名乗るというものだったのですが…
見れば分かる通り、6人いるゴーカイジャーより3人しかいないハリケンジャーのほうが長いというシロモノでした。ゴーカイジャーの名乗りが長かったらどうなっていたことやら。
こういう事態のために、ゴーカイジャーの名乗りが短くなったというわけです。もちろん推測であり、真相は不明。

ゴーカイジャー」は特殊な戦隊なので、来年のスーパー戦隊がどういう名乗りをするのかはわかりません。長くなるのか、短くなるのか。

*1:シンケンレッドは2人いる。18代目シンケンレッドが志葉薫、18代目の影武者で後に19代目を継いだのが志葉丈瑠。