仮面ライダーとは何か

仮面ライダーフォーゼ フォーゼモジュールチェンジシリーズ01 ベースステイツ

仮面ライダーフォーゼ フォーゼモジュールチェンジシリーズ01 ベースステイツ

先週からいよいよ、『仮面ライダーフォーゼ』が始まりました。
主役ライダーとしては2番目の真っ白なボディ、ロケットを…というよりビリケンを連想させるとんがり頭、そしてプレステみたいな○☓△□マークの手足とそれにくっつくいかにも子どもっぽい武器の数々。スイッチ買ってくださいと言わんばかりの、ウエストポーチと見紛うベルトも…
仮面ライダーフォーゼ 変身ベルト DXフォーゼドライバー

仮面ライダーフォーゼ 変身ベルト DXフォーゼドライバー

ぜーんぶ批判されていました。

毎年毎年「こんなの仮面ライダーじゃなーい!」と言われるライダーたち。
スーパー戦隊シリーズはここまで言われません。どんなにぶっ飛んでいても、3〜5色の戦士が戦っていればとりあえずスーパー戦隊です。
改造人間じゃないから仮面ライダーじゃない。
バイクに乗らないから仮面ライダーじゃない。
キックしないから仮面ライダーじゃない。
そもそも劇中で「仮面ライダー」って言われてないじゃないか。

でも、「仮面ライダー」の定義って、そんな瑣末なことなんでしょうか。
仮面ライダーを「ディケイド」から見始めたにわかですが(BlackとRXはリアルタイムで見てた)、仮面ライダーシリーズを概観し、「仮面ライダー」がどのようなヒーローなのかについて考えていこうと思います。

結論を言ってしまえば、仮面ライダーとは怪人の力で戦うヒーローということです。
幾つかの例外はあっても、これは仮面ライダー1号から仮面ライダーOOOまで一貫しています。
非常に乱暴な言い方をしてしまえば、仮面ライダーとは正義の心を持った怪人なのです。

仮面ライダー1号・本郷猛は、ショッカーに改造され、「怪人バッタ男」になるところだったのを脱走し、彼らと戦うヒーローになりました。
彼だけではなく、昭和ライダーは基本的に悪の組織によって、もしくは悪の組織の研究成果を応用して改造人間になっています。

仮面ライダークウガ」以降の平成ライダーは、「改造人間」という設定は使われなくなりました。
しかし、基本的に敵の力を利用して戦っていることに変わりはありません。

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダークウガ マイティフォーム

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダークウガ マイティフォーム

クウガは、怪人グロンギと同じ古代文明の力。

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダー龍騎&ドラグレッダーセット

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダー龍騎&ドラグレッダーセット

龍騎は、敵であるミラーモンスターと契約し、力を手に入れる代わりに戦い続ける宿命を負います。
戦いをやめたり、戦う力を失った時、契約破棄とみなされてミラーモンスターに捕食されます。

MG FIGURERISE 1/8 仮面ライダーW サイクロンジョーカー (仮面ライダーダブル)

MG FIGURERISE 1/8 仮面ライダーW サイクロンジョーカー (仮面ライダーダブル)

Wにいたっては、「ガイアメモリの力で変身する超人」という意味では、怪人ドーパント完全に同一です。仮面ライダー1号が「怪人バッタ男」であるのと同様、彼らもまた「サイクロン・ジョーカードーパント」と言うべき存在なのです。

MG FIGURERISE 1/8 仮面ライダーオーズ タトバコンボ (仮面ライダー オーズ)

MG FIGURERISE 1/8 仮面ライダーオーズ タトバコンボ (仮面ライダー オーズ)

そして仮面ライダーオーズ
龍騎・電王などと同じく怪人と手を組んで戦うライダーですが、左記2名が契約によって手を組んでいるのに対し、仮面ライダーオーズ/火野映司と怪人アンクはいかなる約束もしていません。完全に利害関係の一致のみで組んでいます。お互いにお互いを利用しあっている状態ですが、利用価値がなくなった途端裏切ります。アンクだけでなく、映司の方も。
完全復活して命を得るというアンクの欲望と、人を守るための力がほしい映司の欲望。アンクは映司にメダルを集めさせ、映司はメダルの力でオーズとなって戦う。ただそれだけの関係です。少なくとも最初は。


スーパー戦隊シリーズは基本的に勧善懲悪のストーリーですが、仮面ライダーはそうではありません。
ヒーローといえど異形の存在であることにはかわりなく、その力に悩み続けるのが仮面ライダーなのです。

昭和ライダーの場合、それは「本郷猛は改造人間である!」である程度描写できました。
平成ライダーの場合、改造されない代わりに、自らも怪人と同じ存在である(もしくは怪人そのもの)ということがことさら強調されます。

仮面ライダーW」第1話では、フィリップが左翔太郎に「悪魔と相乗りする勇気、あるかな?」と問います。
愛する風都の街を泣かせた怪人・ドーパントと同じ力を、自らと風都を守るために使えること。その覚悟を持った存在が「仮面ライダー」。

仮面ライダーOOO」は「欲望」が大きなテーマとなっていますが、純粋に欲望の力を増幅させて力にする怪人・ヤミーと、それを生み出す怪人・グリードに対し、映司は一切の欲望を捨ててしまったように見えます。しかし実は、彼自身も「大切な人を守るための力が欲しい」という巨大な欲望を持っていて、その欲望のせいで彼自身もグリードになっていきます。終盤では、そうならないために、なってしまった映司がもとに戻るために、彼自身の欲望をどうするのかが描かれていくのです。


仮面ライダーとは、そのようなヒーローなんです。
バイクに乗らなくても。キックしなくても。たまに悪役になっても。
倒すべき敵と同じ力を持った苦悩と、それを自分が正しいと思ったことのために使うという覚悟は、どんな仮面ライダーも持っています。
正義の心を持った怪人・仮面ライダー。これは最新作「フォーゼ」でもきっと変わらないでしょう。