史上最強の弟子ケンイチ

私の今現在の愛読書。月刊版は前に読んだんですが、週刊版を読んだのは最近です。


いじめられっ子の主人公・白浜兼一が、梁山泊の師匠達に武術を教わって強くなっていくというもので、ベタベタな内容なのに妙な新鮮みを感じるます。


例えば、いつもは根性がないのにいざというときは一転して覚悟を決め、勝ち目のない戦いにも赴いていく、という主人公。
・・・ここまではありがちなのですが、「どんなに強くなろうといつもは根性がないのはそのまま」というのが独特(もしかしたら他のマンガにもあるのかも知れませんが)。
主人公・兼一の性格を一言でいえば「格闘技ができるのび太」。
・・・というより、このマンガ自体が格闘技版「ドラえもん」。
本編にたびたびドラえもんのパロディ*1が出てくるのは気のせいではないのかも知れません。


そのほかの特徴としては、「悪役のスケールが小さい」。
・・・というか、「梁山泊の師匠達が桁違いに強い」。それこそドラえもん並に。
梁山泊内では格下扱いであるヒロイン・美羽ですら、宿敵・ラグナレクの幹部を遙かにしのぐ強さなのです。
この手のマンガでよくある「主人公の挫折」も、「強敵に負けたから」よりも「女である美羽の方が自分より強い」ということに劣等感を感じたから、ということの方が多いぐらいです。


つまり、このマンガは純然たる「いじめられっ子が武術家となるまで」を描いた物語であり、それ以上のものではありません。
単なる「悪人を片っ端からやっつける世直しマンガ」になったら、途端にこの作品は駄作になるでしょう。
悪人をやっつけるだけなら梁山泊の師匠が一人でも兼一に手を貸せばいいだけですから*2
とりあえず単行本15巻まででその兆候は見られないので一安心*3


個人的なこの作品の魅力としては、主人公の悪友・新島春男の存在が挙げられます。
月刊誌版では単なるスネ夫的なキャラだったのに、週刊誌版では外見まで宇宙人そっくりになって、突如兼一の味方になったと思ったらあらゆる手段を使って兼一を修羅の道に陥れる、ある意味兼一にとって最大の宿敵へと変貌していました。
彼の悪役(というより悪魔)ぶりは読んでいて非常に楽しいので、いずれ惡役名鑑で特集したいと思います。


逆にちょっと戴けないのが、「兼一があっさり勝ちすぎる」という点。
最近改善されてきましたが、仮にも元いじめられっ子なのだからもうちょっとぼろぼろになって欲しい。
もう一つは「ヒロインが明らかに狙いすぎ」という点。
美羽のキャラデザ(衣装含む)は体のラインをあからさまに主張しすぎるので、ちょっと気持ち悪いという印象が。
単行本15巻(表紙が美羽のドアップ)はかなり買いづらかったorz
違うんだ! 本屋のお姉ちゃん! これは筋肉ムキムキのむさ苦しいオヤジばっかりの純然たる格闘マンガなんだあああ!


逆に、このマンガの女の子キャラでは泉優香ちゃん*4みたいな素朴な女の子の方が好感が持てます。
・・・というかぶっちゃけ鷹島先輩*5とか南條キサラ*6とか20号*7の方が萌える!
あと連華*8はいらんと思う。


えー、色々問題点もありますが、基本的にキャラの書き込み自体はきっちりしていて、どのキャラにもまんべんなく思い入れが出来るようにはしてあります。
特に、八拳豪のキャラ描写に関しては見事としか言いようがありません(まあ、第七拳豪・トールみたいなあからさまな噛ませ犬キャラもいましたけど)。
サンデー本誌を見ていないので今後の展開は不明ですが、とりあえず今最も続きが楽しみな漫画ではあります。

*1:兼一は、ことあるごとに師匠をドラえもん呼ばわりしている。

*2:実際、新島がそれをほのめかすシーンがあるが、兼一は断っている。

*3:一度だけ、兼一の喧嘩に師匠・逆鬼が手を貸す場面があるが、これは逆鬼が「相手の師匠も出ているから」という言い訳の元勝手に暴れ回っただけという印象が強い。

*4:兼一の所属する園芸部の部長。メガネ+三つ編みという典型的な委員長キャラで、密かに兼一に思いを寄せている

*5:美羽の所属する新体操部のエースで、美羽に人気を奪われたために美羽を一方的に敵対視している。

*6:通称バルキリー。ラグナレク第八拳豪で、テコンドーの使い手。後に新島に懐柔され兼一側につく。密かに猫好き。

*7:ラグナレク第四拳豪・ロキの部下。ロキへのリスペクトからか謎のゴーグルをしているが、恐らく典型的な「眼鏡を取ると美人」系の女の子だと思われる。

*8:師匠の一人である馬剣星の娘。剣星を中国に連れ戻すため横浜中華街で張り込みを続けるが、なぜか兼一に惚れて美羽と恋のさや当てをくりひろげる。