垂れ流し報道の弊害

イナバウアーもそうなのですが、最近のマスコミって、裏をとりませんね。


たとえばヨーヨー関連。1年半ほど前、ズームインサタデーにみっきーが出ていたときに、結構問題のある間違いを2つやらかしてました。

  1. スピーダーを「鈴木裕之君モデル」と説明したのはいいとして、金属リム自体が彼のアイディアであるかのように説明していた。製造元であるヨーヨージャム社自体が開発した技術であることを理解していなかった可能性がある。
  2. 彼が、ヨーヨー会社と「プロ契約」をしているとはっきり言ってしまっていた。彼とYYJがどういう契約になっているかは知らないが、実際問題として彼はそれで生計を立てているわけではない。彼はまだ中学生(当時)だったのであまり問題にはならないが、副業が禁止されている公務員などの場合、誤解されるおそれがある(一応許可をとれば認められますが、世間は頭の柔らかい人ばかりではないわけで・・・)。

些細なことかもしれませんが、「テレビでやってた」ということは非常に大きいのです。本人が「それはちがう。実際はこうで・・・」と説明しようが、効き目はほとんどありません。


たとえば、スケート選手とドシロウトで、こういう会話が予想されます。
イナバウアーやってー!」
「いいよ。(ブリッジのない普通のイナバウアーをやる)」
「えー、違う! 荒川選手がやってた体をのけぞらせるやつ!」
「いや、アレはイナバウアーじゃなくてブリッジ。イナバウアーというのは足の動きが・・・」
「いいじゃん、そんな細かいこと! あのきれいなやつ、できないの?」
・・・実際にテレビで行われているのも、こんなもんです。
マスコミは情報のプロフェッショナルだから大丈夫だろう、と思ったら大間違い。実際には、苦し紛れに論文まる写しにした大学生のレポートと何ら変わりないということも多いのです。


一番顕著なのがネット関係のニュースで、私でもわかるような間違いが平気で報道されていたりします。
また、こういったニュースで「専門家」に聞きに行くことがよくありますが、実はそれ自体が大間違いということはよくあるそうで、この間一緒に食事をしたSEの人があきれてました。
この手の「専門家の話」による間違いは大きく分けて2つ考えられます。ひとつはもちろん、その自称「専門家」の話そのものが間違っていた場合。そしてドシロウトであるインタビュアーが、それを知らずにそのまま鵜呑みにしてしまうといったようなケース。
もうひとつは、「専門家」は正確な話をしていたのに、その話が要領を得なかったとかメディアの側が正しく理解していなかったなどの理由で、編集したら内容がベツモノになっていた場合。この場合、専門家は悪くないのに、詳しい人から非難されるわけで、二重報道被害になるおそれもあります。
インタビューするならそれについて少しは勉強するか、もしくは詳しい人をよこすべきでしょう。少なくとも、「話し下手な『専門家』の話を正しく理解し、まとめることができる」「その『専門家の話』の真偽や信憑性を判断できる」人間でなければマスコミやっちゃいけません。


私でもわかる間違いとして代表的なのが、自衛隊員の私用PCから隊の機密情報が流出した事件のとき。
仕事に使っていた私用PCでファイル共有ソフトWinny」を何者か(こういうのは、子供がおもしろ半分に使って感染させてしまうことも多いのです)が使用し、ウイルスに感染してしまったために個人情報が流出してしまったという事件です。
一番最初にわかったのが、まずこの「ウイルス」の感染経路と症状を正しく報道していない(説明すると長くなるので割愛)。
さらに、この事件の裏にある「自衛隊のIT系予算を財務省が削りまくっているために、重要情報を扱うPCなのに自腹を切らざるを得ない」という事情が全く報道されていませんでした。私も調べてみて初めてわかりましたよ。
この事実がなければ、「自衛隊員は仕事中に著作権侵害なぞやってけしからん」という話になってしまいます。
しかし、実際には、「重要機密を扱うようなパソコンを自腹切らせる(=家庭で家族が使っている可能性がある)とは何事か」という話なのです。
多くのニュースを扱うので調べが甘いことについてあまり強く非難はできないのですが、少なくともマスコミの情報なんてこんなもんだ、ということは認識しておかないと危ないです。


追記。そういえば、例の芸人のせいで、ハードゲイという分野も結構誤解を受けているそうな。
実際のハードゲイは、単なるホモではなく、非常に硬派な人たちです。
まあ、彼のおかげで、ゲイとオカマの混同はずいぶん減ったわけですが。