ポケモンの世界観 その3

ポケットモンスター」シリーズ第4世代「ダイヤモンド」「パール」が発売されました。
私ももちろん「パール」を手に入れ、現在四天王にボコられ中。
新しいポケモンのことや新システムのことなど、語りたいことはいろいろあるのですが、今回はいつぞや話した「ポケモンの世界観」をもうちょっと広げて話してみましょう。


ポケモンの大きなテーマは「少年時代の憧憬」であることは前に話しました。
野に出て虫を捕まえ、相撲をとらせた体験を、近未来を舞台に再現したのが「ポケモン」です。
地球環境の保全を訴える作品は現在真砂の数ほど存在していますが、それを説教くさくなく、ごく自然な形で表現できているというのは非常に珍しいのです。
今回のDS版で私が心配していたのは、こういった価値観が崩壊してしまい、単なるキャラゲーに堕するか、または「自然環境の大切さ」「命の大切さ」ばかりが前面に出てしまって「命を大切にしない奴なんか大嫌いだ!」なんて青臭いセリフを言い出しやしないかということでした。


結論から言うと、前者に対しては杞憂、後者に対しては「やっぱりこうなったか」という感じ。
GBA版のころから、制作の実質的な指揮権は田尻智氏から増田順一氏に移っていますが、増田氏は「命の大切さ」みたいなものを会社のコラムでかなり露骨に訴えていました。
そのためDS版はそういったものが顕在化してくるだろうという予想を立てていたのですが、それが半分当たっています。
ゲーム中、教会のような施設が出てきますが、そこに登場する人物が上記のような趣旨のセリフで埋め尽くされているのです。


しかし、そのようなセリフは他の作品でも耳にたこができるほど聞けます。
ポケモン」が今更それをやっても蛇足にしかなりません。
むしろ、「環境の大切さを口に出す必要がないほど、人間と自然の共存が当たり前」というがポケモンの世界観なのですから、それを自らぶちこわすような真似はしないで欲しいです。


対して、冒険心をくすぐるフィールド構成はお見事としかいいようがありません。
DS版に当たって導入された3Dマップに加え、前作から受け継いだ天候の概念が、フィールドに文字通り奥行きを持たせています。
止まない雨が行く手を阻む大湿原に、霧深き渓谷。先の見えない不安と未知の大地を探検する興奮をかき立てる手の込んだマッピングになっています。
また、今回北の大地が舞台ということで、ポケモン史上初めて「雪」という概念が登場しました。
以前から「雨」と「砂嵐」はあったのですが、ポケモンの主な舞台は夏なので、雪は長らく出なかったのです。
周りが見渡せないほどの猛吹雪とクビまで埋もれる積雪、そして強力な野生のポケモンや襲いかかるスキーヤー。一面の銀世界に一人取り残される孤独。
それを乗り越えてついに次の町へ着いたけれど、さらに進むためにはもっと強くならなければならず、再び極寒のフィールドへ帰っていく・・・。
こういった「大自然の厳しさ」に、ポケモン史上初めて挑戦したというのは評価に値すると思います。


次回へ続く。