女性・女系天皇に反対 超党派議員が安倍長官に決議文

後輩がたまに見ているっぽいので、たまには教養のあるところを見せないと。
ただの「出席日数がヤバいヨーヨーオタク」じゃないぞ、と。


http://www.asahi.com/politics/update/1116/012.html?ref=rss
内容はソースをご覧いただくとして、ここでは女性天皇問題に関する私の見解を簡単に述べておきましょう。


結論としては、女天皇は賛成です。
しかし、女天皇は反対です。


この手の議論だと、「今は男女平等社会だ&昔も女性天皇はいたんだから女性も認めるべきだ」か、「天皇は男のみという伝統があるのだからこれからの天皇も男にすべきだ」のどちらかに偏ってしまいますが、どちらも事の本質を見据えていないとしか言いようがありません。
だって、女と女を混同しているのですから。特に前者の意見の人。


重要なのは、2600年以上(公称)も前からのルールを現在の価値観で判断してはいけない、ということです。
神武天皇から今上天皇まで、125代にわたって共通するルールを見つけなければ意味がありません。


まず、男性でなければならないという縛りはありません。
推古天皇から後桜町天皇まで、延べ10人(うち2人は重祚しているので実質8人)が女性天皇です。
「男性でなければならない」というルールが追加されたのは1889年に勅定された皇室典範が初めてであり、100年ちょっとの伝統しかないのです。


最近「直系優先」という方向で話がまとまりつつありますが、
そんなルールは明治天皇以前には存在していません。
明治憲法下の「家」制度の産物でしかないのです。


天皇は、女性であっても、直系でなくてもなれるのです。
それどころか、なぜか遙か遠い親戚までさかのぼってなっている例まである。
例えば、48代孝徳天皇と49代光仁天皇の間の関係はというと、ひいおばあちゃんの腹違いの兄弟の孫です。その差6親等。


こんな無茶苦茶な継承をしているように見える天皇家にも、よく見るとあるルールがあることに気が付きます。
それは、「男である」ということです。
「男系」とは、すなわち「その人の父親をずっと辿っていけば(系譜上は)神武天皇に辿り着く」ということです。


おわかりですね。このルールから行けば、愛子さま天皇になれるんです。
父君の皇太子さまは間違いなく男系なのですから。
同様に、眞子さま、佳子さまも問題なく天皇になれます。
紀宮さまはご結婚前ならなれました(なぜ結婚したらダメなのかは後述)。


但し、上記三方の誰が天皇になられても、その子供は天皇にはなれません。
父親を辿っても神武天皇に行き着かないからです。


先ほど孝徳天皇光仁天皇の例を挙げて「無茶苦茶な継承」と称しましたが、なぜこんな変な継承の仕方をしたのかがこれでわかります。
孝徳天皇は女性であるが故に、系譜を思いっきり遡って男系を探したわけです。


ヨーロッパだったらここまで遡る前に王朝を女系にしてしまうところですが、なぜ日本だけここまで男系にこだわったのか。
それは、中華王朝の「易姓革命」思想に由来しています。


中国で「革命」とは、「天命が革(あらた)まる」ことを表します。
前の王朝が腐敗し、天が見限って別の勢力に天命を与える。
その勢力は前王朝を倒し、天命に従い新たに大陸を治める。
その時に姓が易(か)わるので、易姓革命なのです。


で、前の王朝は天命に逆らった忌むべき相手なので、新しい王朝は前王朝の遺産を根絶やしにします。人のみならず、物も。
中国の「革命(王朝交代)」は、そのような血で血を洗う抗争を全部解決した後で行ってきたのです。


そういった中華的な「易姓革命」から決別するために、日本の天皇家には最初から姓が存在しないのです
(このように、「天皇」成立の歴史は、中華秩序からの決別の歴史でもあります。これについては機会があったら書きます。)


そこに、「姓」を持った男系が入ってしまうと、「姓」のないはずの天皇家に「姓」が存在することになり、すなわち、「易姓革命」が実現してしまうことになります。
それを避けるために、皇位を継承できるのは男系だけ、というルールができあがったのでしょう。


さっきちらっと言った、「現在の清子さんには皇位継承権がない」理由がここにあります。
現在は姓を持っているわけですから。無理矢理継承したら「黒田朝」になってしまいます。


以上が、女天皇反対の理由です。


しかし、現実問題としては「直系優先」という方向で話が進んでいるので、今更これを変えることは難しいでしょう。
余程のことがない限り、皇太子様の次は愛子さまで、その次がそのお子さま、ということになります。
・・・では、もう2600年の伝統は守ることができないのでしょうか?


・・・実はできます。
現在の皇族を辿るとどん詰まりになってしまいますが、戦後皇籍離脱した「旧宮家」の中に、男系の流れをくむ男性が何人かおられます。
その人と愛子様が結婚してしまえばよろしい。
そのお子さまは男系を辿ればちゃんと天皇家に行き着くのです。


これは過去にも例があって、例えば43代元明天皇の娘は天皇(元正天皇)になっています。
元明天皇の夫である草壁皇子天武天皇持統天皇の息子なので、男系がとぎれることにはならないのです。


「本音と建て前」は日本人のお家芸なのですから、建前として直系優先にするなら、裏ルールとして「結婚は天皇の流れをくむ人から」という縛りを入れるべきでしょう。