戦隊ものの「名乗り」について

戦隊ものに必ずあるのが、戦闘前の「名乗り」。
「やってる間、なんで敵は攻撃しないんだ?」というつっこみがよくありますが、アレは時代劇の口上と同じで様式美というヤツですから、言うだけ野暮というものです。


で、自分が見ていた戦隊ものの「名乗り」、覚えてますか?
完全に覚えてはいないにしても、今20代の人なら、「それぞれが変身後の名前を名乗る」→「戦隊名を名乗る」の順がほとんどでしょう。
スーパー戦隊シリーズ31年目を迎える現在、その「名乗り」がどんどん長くなっているのだそうです。
そういえば、いつの間にか変身前の名前を名乗るようになったり、変なキャッチフレーズがついたりするようになったような。
そんなわけで、ちょっと調べてみました。今はインターネットがあるので簡単だなあ。


秘密戦隊ゴレンジャー」(1975-76)*1の場合。

アカレンジャー!」
アオレンジャー!」
キレンジャー!」
モモレンジャー!」
ミドレンジャー!」
「5人そろって、ゴレンジャー!」

非常にシンプル。戦隊ものの名乗りといったらこれしか考えられない、という人も多いのでは?
秘密戦隊ゴレンジャー」と名乗らないのは、たぶんシリーズものにする気がなかったからなのでしょう。


超獣戦隊ライブマン」(1988)の場合。

「レッドファルコン!」
「ブラックバイソン!」
「グリーンサイ!」
「イエローライオン!」
「ブルードルフィン!」
「超獣戦隊 ライブマン!」

10周年(当時の数え方で)にあたるこの作品でも、テンプレートは初代とほとんど同じです。
ブラックとグリーンは物語中盤から加わるので、最初はもっと短かったのです。


十数年ずっとこれでやってきたのですが、90年代に入って転機が。
恐竜戦隊ジュウレンジャー」(1992)の場合。

「ティラノレンジャー ── ゲキ!」
「マンモスレンジャー ── ゴウシ!」
「トリケラレンジャー ── ダン!」
「タイガーレンジャー ── ボーイ!」
プテラレンジャー ── メイ!」
「恐竜戦隊 ジュウレンジャー!」

変身前の名前を一緒に名乗るようになりました。
ジュウレンジャーは、恐竜時代の戦士たちが現代によみがえったという設定で、以降、主に神秘的な力で戦う戦隊ものが変身前の名前を名乗るようになります。


その一年後にさらなる転機。
五星戦隊ダイレンジャー」(1993)の場合。

リュウレンジャー ── 天火星・リョウ!」
「シシレンジャー ── 天幻星・ダイゴ!」
「テンマレンジャー ── 天重星・ショウジ!」
「キリンレンジャー ── 天時星・カズ!」
「ホウオウレンジャー ── 天風星・リン!」
天に輝く五つ星 ── 五星戦隊 ダイレンジャー!」

注目すべきは、戦隊全体のキャッチフレーズを言うようになったこと。
これが好評だったのか、以下の戦隊ものには、戦隊全体にキャッチフレーズがつくようになります。
また、変身前の名前にさらに綽名が加わっていますが、これは「百獣戦隊ガオレンジャー」(2001)あたりから再び採用されはじめ、名乗り長大化の原因となっています。


そしていよいよ今回の本命。近年の戦隊ものでは最も長い、「魔法戦隊マジレンジャー」(2005)の名乗りをご紹介しましょう。

「唸る大地のエレメント ── 緑の魔法使い・マジグリーン!」
「吹きゆく風のエレメント ── 桃色の魔法使い・マジピンク!」
「揺蕩う水のエレメント ── 青の魔法使い・マジブルー!」
「走る雷のエレメント ── 黄色の魔法使い・マジイエロー!」
「燃える炎のエレメント ── 赤の魔法使い・マジレッド!」
「溢れる勇気を魔法に変える 魔法戦隊 マジレンジャー!」

書いていて嫌になってきた。
個人のキャッチフレーズが2段階あるという、まことに贅沢な名乗り。
あまりに長すぎて途中で削られることもあるみたいです。
ちなみに、この一つ前の「特捜戦隊デカレンジャー」(2004)も負けず劣らず長いです。これは、個人のキャッチフレーズの代わりに、「桃太郎侍」などでおなじみの数え口上をやるためです。


ゲキレンジャーも一人一人の名乗りが長いのですが、こちらは3人戦隊なので全体としては短いです。
でも、最近は追加の戦士とかいるから、やっぱり今回も長くなっちゃうのかしら。

*1:特撮ファンからのつっこみがありそうなのでよけいな解説。スーパー戦隊シリーズは、少し前まで「バトルフィーバーJ」から数えるのがふつうだったので、ゴレンジャーを戦隊シリーズに入れないという説を採る人もいることを申し添えておきます。ここでは、昨年の「轟轟戦隊ボウケンジャー」で30年目という東映の見解に基づき、ゴレンジャーをスーパー戦隊シリーズに含むことにして話を進めます。