ダサい市名考察 その1:ひらがな市名

さて、ダサい市名の筆頭格でもある「ひらがな市名」についての歴史をひもといてみましょう。


日本におけるひらがな市名の最初は、昭和35年青森県むつ市でした。
田名部市と大湊市の合併により誕生した田名部大湊市が改名したものです。
なぜひらがなになったのかというと、「陸奥」という漢字が当て字であるためです。


続いて昭和41年に誕生した福島県いわき市がひらがなであった理由も、「磐城」「岩城」などと漢字表記にかなりの揺れがあったためです。


そして3番目が、恐らく茨城県つくば市
こちらは、合併当初はまだ筑波郡筑波町が存在していたためでした(後つくば市に吸収)。


さて、ここら辺はまだ違和感のない範囲内ですが・・・
茨城県に誕生した第2のひらがな市名、「ひたちなか市」あたりからだんだん怪しくなってきます。
今までは、ひらがなでもその土地の特色を生かした名前が使われていましたが、これは「勝田市」と「那珂湊市」の合併。
どちらも(県内では)それなりに有名であり、2つを繋ぐ地名も存在しない。
更に「常陸(日立)」「那珂」はどっちも使われている。
・・・で、苦肉の策として生まれた地名なのでしょう。


そう、諸悪の根元は、この「事なかれ主義」系ひらがな地名。
「迷ったり揉めたりしたらひらがなにすればいい」という安易な発想がここで生まれたといっても過言ではありません。
かの悪名高き「さいたま市」も、埼玉(さきたま)古墳群のある行田市が「埼玉市」にクレームを付けたため生まれたひらがな市名です。


そしてそれに「親しみやすさ」系ひらがな市名が拍車を掛けます。
「ひらがなにすれば親しみやすい」という地方行政の常套句が、
上記のような妥協を覆い隠す美辞麗句としてもてはやされたのです。


たしかに、ひらがなには文字表現を軟らかくする性質があります。
しかし、それは同時に「乱用するとバカに見える」ということでもあります。
そして、漢字というアクセントがなくなると見づらくもなります。
漢字を全廃した途端若者の読解力が低下した韓国を見れば一目瞭然です。


漢字で書かれているものをひらがなにするのは、その辺のバランスもきちんと考えなければならない、大変な作業なのです。


それでも「ひらがなにすれば親しみやすい」などと無反省に信じている人は、
どうぞ下呂温泉をひらがなにしてみてください。


「難しい漢字だから」という理由でひらがなにするバカ自治体もいますが、
余計なお世話というより、日本人をなめきっています。
例えば、「日暮里」が読めない東京人はいないと思います。
必要だったり有名であれば難しくても覚えるのであって、
読んでもらえないのであれば自治体のPR不足でしょう。


ひらがな市名がなぜダサいか。
それは、地方行政の安易さが色濃くにじみ出てくるからに他なりません。


次回は、「方位+県名」地名について。